青木 陽VIEW PROFILE →
グーグルが「Pixel Watch 5」を発表:399ドルから、血圧の傾向やインスリン抵抗の指標など健康機能を大幅強化
グーグルは8月12日、スマートウォッチの新型「Pixel Watch 5」を発表した。最小構成で399ドルからと値上げされた一方、電池持ちの改善に加え、血圧の傾向把握やインスリン抵抗の指標、緊急時の呼吸検知など、健康関連の機能が大きく拡充された。
グーグルは8月12日、米ニューヨークで開いた発表会で、新型スマートウォッチ「Pixel Watch 5」を披露した。予約はその日から始まり、店頭での一般発売は8月20日を予定している。前モデルからの正常進化にとどまらず、健康機能の大幅な拡充と、それに伴う値上げが同時に打ち出された点が今回の特徴だ。
まず価格は上昇した。最も安い41ミリのWi-Fi対応モデルは399ドルからで、前年の同等機種より50ドル高い。45ミリのWi-Fiモデルは429ドル、通信機能を備えたLTEモデルはそれぞれ499ドルと529ドルとなる。さらに、9月3日には579ドルのステフィン・カリー特別版も追加で投入される予定だという。
本体は41ミリと45ミリの2つのサイズが用意され、色は4種類から選べる。バンドも刷新され、第2世代となる「アクティブバンド」には水素化ニトリルブタジエンゴムという新素材が採用された。画面には最大3000ニトの明るさを持つ有機ELパネルを搭載し、屋外の強い日差しの下でも視認性を確保しているとしている。
中身とバッテリー
内部の刷新も見逃せない点だ。プロセッサーには「スナップドラゴンW5 Gen 2 アクセラレーテッド」が採用され、前世代よりおよそ12パーセント高速化したとされる。ストレージは64ギガバイトへと倍増し、メモリーも3ギガバイトへと5割増えたことで、複数の機能を同時に扱う際の動作の余裕が高まっている。
電池持ちも改善された。バッテリー容量は41ミリで325ミリアンペア時から332ミリアンペア時へ、45ミリで455ミリアンペア時から465ミリアンペア時へと増えている。画面を常に表示した状態でも、41ミリで最大30時間、45ミリで最大40時間の駆動をうたい、省電力モードではそれぞれ最大48時間と72時間まで延びるという。
健康機能の強化

今回の最大の目玉は、健康と運動に関する機能の大幅な強化である。グーグルはこれらの機能を束ねた「ヘルスガーディアン」と呼ばれる仕組みを新たに導入し、不整脈の疑いや心拍の異常、緊急時の呼吸の変化などをまとめて利用者に通知する体制を整えた。日常的な体調管理を後押しする狙いがある。
新たに加わった指標も多い。血圧の傾向を把握する機能や、インスリン抵抗に関する指標、睡眠中の呼吸の質を測る機能などが搭載された。これらは病気の診断を下すものではなく、あくまで長期的な傾向を利用者に示し、生活習慣を見直すきっかけを与えることを主な目的としているとされる。
さらに、心房細動の検知や、脈が失われた際のイベント検出といった機能も備える。運動面では、50種類を超える運動に対応する「レディネススコア」で体の回復度合いを示すほか、二つの周波数を使う高精度の位置測位により、これまでで最も正確なGPS計測を実現したと説明している。
ソフトウェアと市場での立ち位置
ソフトウェアの面では、最新の基本ソフトである「Wear OS 7.0」を搭載し、対話型AIの「Gemini」が組み込まれた。通信が使えない状況でも、タイマーやアラームの設定、運動の記録などを音声で操作できるオフライン機能が用意され、スマートフォンを取り出さずに腕元だけで完結する操作性を高めている。
Pixel Watch 5は、アップルの「Apple Watch」やサムスンの「Galaxy Watch」が激しく競い合うスマートウォッチ市場に、グーグルが健康機能を主軸として切り込む製品だ。価格の引き上げは部品コストの増加を反映したものとみられ、機能の拡充によって値上げ分を利用者に納得させられるかが問われることになる。
もっとも、腕時計型の端末による健康計測には慎重な見方もつきまとう。血圧やインスリンに関する指標は、医療機器による正式な測定とは性質が異なり、あくまで日々の目安にとどまる。利用者がこれらの数字をどこまで信頼し、実際の生活にどう生かすかは、今後の使い勝手にかかっていると言えるだろう。
日本を含む各国では、健康志向の高まりを背景に、ウェアラブル端末への関心が根強く続いている。グーグルが健康機能を前面に押し出したことは、スマートウォッチが単なる通知を受け取る端末から、日々の体調を見守る道具へと役割を移しつつある大きな流れを、改めて印象づけるものだと言える。





