青木 陽VIEW PROFILE →
DJI「Osmo Pocket 4 Pro」登場、シリーズ初のデュアルレンズで望遠を追加、ただし米国は今回も蚊帳の外
DJIがコンパクトジンバルカメラの新型「Osmo Pocket 4 Pro」を7月30日に世界で発売した。シリーズ初となる3倍望遠レンズを搭載し、ダイナミックレンジは17ストップに向上している。一方で米国市場は今回も除外され、日本を含む多くの国が先行して手にする形となった。
DJIは7月30日、人気のコンパクトジンバルカメラの最新モデル「Osmo Pocket 4 Pro」を世界で発売した。手のひらに収まる小型ボディにブレを抑える三軸ジンバルを内蔵したシリーズの上位機種で、今回は特に映像表現の幅を広げる大きな進化が盛り込まれている。
最大の目玉は、シリーズで初めて採用されたデュアルレンズ構成である。従来のメインカメラに加えて、焦点距離60ミリ相当の3倍望遠カメラが新たに搭載された。これにより、被写体から離れた位置からでも寄った画づくりが可能になり、ポケットサイズのカメラとしては珍しい表現力を手に入れた。
画質面でも底上げが図られている。Osmo Pocket 4 ProはDログ2に対応し、ダイナミックレンジは最大17ストップに達する。標準モデルのOsmo Pocket 4が約14ストップだったことを踏まえると、明暗差の大きいシーンでも白飛びや黒つぶれを抑えやすく、後からの色調整にも余裕が生まれる。
何が新しくなったのか
被写体を自動で追いかける機能も強化された。新しいアクティブトラック8は、複数の人物がいる場面でも優先すべき被写体を判断して追尾できるようになっている。ひとりでの自撮り撮影はもちろん、複数人が写り込む状況でも、狙った人物をフレーム内に保ちやすくなった。
ズーム性能も見逃せない。Osmo Pocket 4 Proは画質を落とさないロスレスズームで最大6倍に対応し、2倍だった標準モデルから大きく引き上げられた。望遠レンズとデジタル処理を組み合わせることで、小型機ながら遠くの被写体にもぐっと近づけるのが特徴だ。
一方で、基本部分は標準モデルを踏襲している。DJIによれば、メインカメラの撮影モードやバッテリー持ちはOsmo Pocket 4とほぼ同等で、本体サイズもほとんど変わらない。つまりProは、扱いやすい従来機の土台に、望遠レンズと各種強化を上乗せしたモデルという位置づけになる。
米国だけが手に入らない

今回の発売で特徴的なのは、その販売地域である。DJIは4月16日に発売した標準モデルのOsmo Pocket 4に続き、今回のProでも米国市場を除外した。世界のほとんどの国で購入できる一方、米国だけが正規ルートから外れる異例の形となっている。
背景にあるのは、DJI製品をめぐる米国での規制の強まりだ。ドローンだけでなくカメラ製品にも及ぶ通信認証や輸入の制約が影響し、米国のユーザーは正規販売の対象から外れ、実質的に並行輸入などに頼らざるを得ない。ポケットカメラの一件は、米中間の技術摩擦を映す一例といえる。
日本の利用者にとっては、この状況はむしろ追い風だ。米国では正規に入手しづらい最新機を、日本を含む多くの地域では通常どおり購入できるためである。価格については、中国での希望小売価格が4999元とされ、日本円換算でおよそ11万円前後、米ドルでは730ドル程度と報じられている。
クリエイターにとっての意味
Osmo Pocket 4 Proが主に狙うのは、旅行やVlogを手軽に高画質で撮りたいクリエイター層だ。片手で持てるサイズと強力な手ブレ補正はそのままに、望遠レンズ、被写体追尾、ダイナミックレンジという、これまでのポケットカメラで物足りなさを感じやすかった部分を集中的に補強してきた。
競合の視点で見ると、この製品はアクションカメラやスマートフォンとも撮影領域が重なる。しかし、ジンバル内蔵の安定した映像に望遠まで加えた組み合わせは、DJIが得意とする独自の立ち位置であり、ポケットサイズの動画撮影機というジャンルでの強みをさらに際立たせている。
DJIは短い周期で製品を刷新し続けており、米国をめぐる状況も当面は続く可能性が高い。それでも、日本のように正規で購入できる市場においては、Osmo Pocket 4 Proは現時点で最も完成度の高いポケットジンバルカメラの一つとして、今後の動画撮影の選択肢を広げていきそうだ。





